「でも、もし二回続けて俺を呼ぶ声が聞こえたとしたら、それは本当に俺を呼んでるんだと思わない? その確認も兼ねて、俺は一回目は大体シカトしてる」
兼ねて? この男、今、「兼ねて」って言った?
どういう事? 一体、何と兼ねる必要があるっていうの?
「何と兼ねるの?」
何の装飾も無く零れ落ちた疑問に、夏野君は少し間を置く。
これこそ夏野君が答えたくない質問かもしれなくて、だから夏野君が飲んでたドリンクをその口から離してテーブルに置いた時は、少し安心すらした。
「悪戯か冗談か、或いは意味無い声掛けか確認するのと、兼ねてる」
「意味無い声掛け…」
名前を呼ばれたから「何?」と聞いてみると、「何でも無い」「呼んでみただけ」と返ってくる、アレ。もしくは、向こうが呼んだにも関わらず、何故か返事が来ない事もある。
アレは私も、最も嫌いな物の一つだ。何故なら、気が散るし意味無いし、何より時間の無駄だと思ってるから。残念だけど、私はアレに構ってる、時間もゆとりも存在しない。
「アレ、本当に無駄だよな。やめて欲しいと思ってる。……だけど、やってくる暇人はいるんだよな。向こうの学校でやられて、正直参ったよ」
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