彼が虚勢をはる理由






しかも、分かってた事だけど、聞きたい事が、夏野君について知りたい事が多すぎる。どれから聞けば良いんだか…。


「……夏野君はさ、何でいつも一回目はシカトするの?」

「…………」

取り敢えず、さっき勢いだけで叫んでしまった事から聞いてみる事にした。
だけど、夏野君からの返事は無い。
……やっぱ、言いたくない事なのかな? どうしても夏野君が、答えたくない事情があるのかもしれない。


「…言いたくなければ、答えなくても、良いよ」


私は小さく、だけどはっきりと、夏野君にそう言ったつもり。
誰にだって、言いたくない事や、教えたくない事はあるんだし。
けど夏野君は、少し考え込んでから、口を開いた。ドリンクをそっとテーブルに置く。


「……教室って、何だかんだでうるさいよな。だから、ひょっとしたら、俺を呼ぶ声も、自分の空耳かもしれない」


…うん、それは何か分かる。休み時間とか、教室内の会話と、廊下から聞こえる会話がゴチャゴチャに混ざり合って、もはやちょっとしたカオスだもん。私も、ハルや舞子と会話する時、注意して話聞いてるし。
特に次の授業が移動教室だった場合、移動先を確認し合う会話とか、荷物を確認する声とかで、騒がしさに拍車がかかってるし。





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