ドリンクを取り上げられた時は呆気にとられて私を見ていた夏野君も、私が椅子に座ったのを見てクスクスと笑い出した。
何なの。人がただ椅子に座っただけで笑い出すなんて、失礼なヤツ。
「…いやー、急に何しだすのかと思ったわ。周りの注目、超浴びてたじゃん。星崎マジうける」
「マジうける、じゃないし。椅子に座っただけで笑うとか、本当に失礼だな」
「だって本当にうけるんだもん」
「うけるんだもん、じゃないわ」
……はっ、いかんいかん。
つい売り言葉に買い言葉で、思わず喧嘩腰で話しちゃったけど、聞きたい事があるんだった。
夏野君がこうして、シカトせずに前みたいに話してうちに、聞きたい事を出来るだけ聞き出さなくちゃ。
「…ねぇ、夏野君はさ」
「何?」
夏野君が返事と同時に、横目でこちらを見てきた。少し長く輝く金髪がサラサラと揺れ、右耳のみに並んだピアス達がカチャカチャと音を立てる。
今度はシカトされなかった事に、今まで知らなかった重要かもしれない事を聞く事に、知っていた筈の夏野君のイケメンぶりに、何だかまとめて緊張してきた。
横目だけで私を見るとか、もはや流し目攻撃でわざと聞きづらくしているとしか思えない。
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