「…ねぇ、な」
私は夏野君に話しかけようとするけど、夏野君はドリンクを飲み続けてる。
私は言葉の続きを話すタイミングを逃す。
……まぁ、最初の一回目はシカトされるのはいつもの事だし、こんな事でめげてる場合じゃない。
「ねぇ、何で」
夏野君はドリンクを飲みながらチラリとこっちを見たけど、そのまま視線を戻し、器用にドリンクを飲みつつ鼻歌を歌い始めた。
……何だコイツ。さすがにムカつく。私の話、全く聞く気無いでしょ!
腹が立った私は、実力行使に出る事にした。立ち上がって、夏野君の口元に手を伸ばす。
「何で! いつも一回目は! 必ず! 無視するの!」
夏野君の飲むドリンクを強制的に取り上げ、怒る私を、夏野君は驚いて見上げている。
気付いたら周りの席の人達もこっちを見ていた。
「…何だ、痴話喧嘩か」
「若いって良いわね~、元気があって」
そういうコソコソ話が聞こえてきて、思わず顔が熱くなる。
右手に持っていた夏野君のドリンクを、そっとテーブルの上に戻した。
…ってか、痴話喧嘩じゃないし! 夫婦とかカップルとかじゃないし!
男女の組み合わせなら、勝手にカップルとか決めつけるなっての。
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