「あー亜希子。また松原のこと見てる」 「しーっ。聞こえたらどうするの」 私が松原大和くんを好きになったのは中学3年の春だった。 松原くんと同じクラスになって同じ班になったことがきっかけ。 それまではクラスも違ったし、話すこともなかったけど彼が私の書く字を褒めてくれた。 「平瀬って字、綺麗だよな。俺、字下手だから羨ましい。そうだ、班の新聞の清書、平瀬がやってよ」