英知くんの視線の先には、きっとあかねの後ろ姿が写っているんだ。



英知くんを見ているのは、私なのに……、



貴方の視界に少しでも、私は入っていますか?


そう、問いかけたくなる。





「穂乃花……?」



抱きついたまま、何も喋らなくなった私を不思議に思ったのか、あかねが声を掛けてきた。


その声にハッとして、私はあかねから腕を離した。



「あっ、ごめーん。ちょっとぼうっとしてたあ。」


「もう、穂乃花ったら~!また有澤くんのことでも見てたんでしょー」



ほんと一途だねー。とあかねが感心したようあ言う。



「そーそー!もう今日も素敵だなーってね♪」


「あーあ、有澤くんに妬けちゃうなー」