6月に入って京都はうっとおしい梅雨に入った。
その日も蒸し暑い曇り空だった。
オサムオサナイは胸騒ぎを感じて石を見た。
今日の梅雨空のように暗く沈んでいる。

ナムストーンと囁くと申し訳なさそうに
僅かばかり明るくなるだけだ。そのとき、
ナセルからメールが入った。

「ハワイのキラウェア天文台に電話が通じません。
ハワイのメンバーに動いてもらってはどうでしょうか?」
「了解しました。すぐ連絡をとってみます」

確かにキラウェアには全く通じない。
ハワイにはすでに数十人のメンバーがいて
中心者のカメハメハはハワイ大学のメンバーとともに
5人で空中飛行をたびたび繰り返している。

キラウエアには光る石もある。さっそくカメハメハに
動いてもらったが、天文台はすでに米国海軍によって
封鎖されているとのことだった。

オサムオサナイは全世界200か国の中心メンバーと
大英博物館を通じて350か所の光る石所持者に向けて
緊急連絡第一号を発した。

「近いうちに地球規模での大事件が発生しますので、心して石を
見守っていてください。少しの変化でもあればみんなと連絡を
取り合い全世界にナムストーンの渦を巻き起こしていきましょう」

その頃世界各地の大型望遠鏡を持つ天文台はすべて各国の軍隊に
よって封鎖されていた。

アメリカ合衆国、ニューヨーク国連本部、ペンタゴン、ホワイトハウス
はこの日厳しい報道管制がしかれた。

「公式発表はまだ先だ。押さないで押さないで。今再分析中だから
発表までもう1日かかります。まだ不必要に騒がないでください!」