それから2年後のある日ガウリは新築なった訓練所本部棟
の屋上でいつものように昼食後カシミール方向の山脈を眺
めながら右ポケットの中の小石を撫でていると、
突然すさまじいバイブレーションが起きた。

すぐに取り出して見つめて見ると青黒く不気味に輝き
小刻みに振動している。
「ナムストーン、ナムストーン!」

思わず口をついて出た。驚愕の目でじっと石を見つめながら
ナムストーンと唱え続けた。光は徐々におさまり再び
元の乳白色に戻った。全身汗だくだ。

幸い誰にも見られていない。大きく深呼吸をしてガウリは
何事もなかったかのように階下の教室へ降りて行った。

すぐさまオマル教師が駆け寄ってきた。いつもは冷静な教師が
血相を変えている。

「シャリフ参謀長のところへ大至急行ってください。
インドが先ほど地下核実験をやりました」
ガウリは軍の車で東部司令部へ急行した。