ガウリは2台のトラックに食料を積んで山間部に向かった。
日暮れまでに村につかねばならない。数キロ手前の峠でもう日没間近だ。

この付近は山賊が出没する。まだ組織化されていないゲリラもいるが
武器が容易に手に入るため昼はおとなしい農民の一部が
夜は山賊に早変わりするのだ。

峠を下りかけたところで襲撃された。なだらかな山側の林の陰から
自動小銃で撃ってくる。谷川も林で10数メートルほど下が
小川になっている。

こちらは武装した部下が5人、直ちに飛び降りて応戦する。
ゲリラは10人ほどか。激しい銃撃が一瞬ぴたりと止んだ。
息を止めて1秒2秒。

「谷側へ逃げろ!」
ガウリは叫んで木陰へ飛び降り根元にうずくまった。
その瞬間、ドカーンという音と衝撃で前方のトラックの真下に
火柱が上がった。ロケット弾だ。