「あった・・・・」


ポケットから取り出したものは板チョコである。今日、金髪の女の子にもらったものだ。

無造作に板チョコの包みを開き、ゴミになった包みはちゃんとゴミ箱に捨てずにその辺の床にポイっと投げた。

パキ


チョコを一口サイズに割って口に放り込む。途端に甘い味わいが口全体に広がって、脳ミソが生き返るのを感じた。



「ねぇ、君。森本晃っていうんだね。」



女子トイレの一件後、彼の心の声がその日1日聞こえてこなかった。ただ、彼の心が深く沈みこんでいることは心で感じ取っていた。


「ねぇ、わたしの声聞こえてるでしょ?星キレイだね。」


『・・・・・キレイだね』


「ここから見る星空が一番好きなの。わたしだけのもののように思えるから。」