愛されていると思っていた。

両親ともに健在で、姉と弟がいて、幸福な家庭を絵に描いたように幸せだった。




愛されることが当然だった。

愛することは自然なことだった。




だから、同じ教室で共に学ぶ中で、ごく自然にロルフに恋をした。



軽薄な雰囲気も、魅力的だった。

自分にないものばかり持っているロルフは、素敵だと思った。





付き合おうといわれた時は、本当に嬉しかった。



華やかな女の子たちを虜にするあのはしばみ色の瞳が、自分に向けられるのだというだけで、胸が高鳴った。