背を向けた。




「パトリシア・・・」





ロルフが私の名前を呼ぶ。

たまらなくなって走り出す。



涙がこぼれて来て、顔を覆った。



私を好きじゃない人のそばにいたくなかった。

私は好きなのに。

この命を懸けて愛した人なのに。




頬を滑る冷たい風が、胸にまで吹き込むようだった。