その静けさで、ふいに胸が苦しくなる。


この人は行ってしまう。

明日になれば、もう離れなければならない。



それぞれ違う国を故郷と呼ぶのだから仕方がないと諦めきれる程度の想いではなかった。



自分の持つもの全てを捨ててでも、愛し抜きたい人だった。