その日の放課後、私はハヤト君に言われた通り、ハヤト君のクラスの教室へと向かった。


ドアの前で待っていると、田辺君と偶然会ってしまった。


「どうしたの? 白石」


「あ、うん。ちょっとね……」


「もしかして、藤堂?」


ちょっとだけ口を尖らせる田辺君。


「うん……。

なんか、私に話があるとかで……」


「話?

なぁ、大丈夫なのかよ。

幼なじみだからって、あんまり信用するなよ?

黒崎先輩も心配してるし」


「うん、わかってる……」


私がそう言うと、田辺君は小さなため息をついた。


「じゃあ、またな」


「うん。バイバイ」


お互いに手を振ると、田辺君は美咲が待つ教室へと向かって行った。


しばらく廊下で待っていると、ハヤト君が教室から出て来た。


「おう。待たせたな。じゃあ行こうか」


「う、ん……」

 
ハヤト君に続いて校舎を後にする。


うつむいたまましばらくハヤト君の後ろを歩いていると、正門の方向ではないことに気づいた。


「ね、ねぇ、ハヤト君。

どこに向かってるの……?」


「いいから付いて来いよ」


私は戸惑いつつも、言われるままハヤト君に付いて行った。