歌姫桜華






「一瞬だから、よそ見しちゃだめだよ」





 フッと優しく微笑みながら、呟くように言った。


 その声を聞いた直後のことだった。




 ――ザア…!



 強い風が、美藍ちゃんの髪をさらっていく。


 瞬間、美藍ちゃんは動き出した。





 美藍ちゃんは足をあげて、瞬時に木材へ向けて足を下ろした。



 その姿は、迫力もあり、桜のように綺麗で華麗だった……。







「ちゃんと見てた?」



「見…てた……」






 やべぇ……やべええ!!



 木材は、真っ二つに綺麗に割れていた。





「ほ、本当だったんだな!喧嘩強いってやつ!!」