歌姫桜華





「じゃあ……」



 紺は自分のランドセルから、今日の図工の時間に使った木材のあまりを出して言った。




「この木を、折れますか?」




 その木は、すごく固く頑丈で、男の俺らでも折ることはできないほどだ。

 それを折ったら、さすがに認めざるをえない。




「え、それだけで信じてくれるの?」




 あっさりと、美藍ちゃんは言った。


 それだけって……。



 すんげー、頑丈なんだぞ!?それ。





「えぇ、信じますよ。ね?奏多」



「おう」





 無理だろ。ぜってぇー無理。


 嘘だってバレたくなくて、強がってるだけだって。



 そう心では思ってたけど、実際、すごくワクワクしてた。




 もし美藍ちゃんが本当に折ったら……、そう考えると、興奮した。