歌姫桜華






「足は速くないけど、喧嘩は強いと思うよ」



「「喧嘩!?」」




 美藍ちゃんから、「喧嘩」って言葉が出ると思わなかった…。


 絶対、俺らのこと騙してるだろ。





「うん。喧嘩。私これでも、龍華に入ってるんだよ♪」




 ほら、やっぱり嘘だった。


 自慢したくなる年頃なのかもな、女子って。





「それはすごいですね」


 紺も俺と同じように、今のが嘘だって思ってるらしく、そう言った。




「もー、信じてないでしょ」



「だって…なあ?」


「…信じられませんよね」




 俺らが顔を見合わせてそう言うと、美藍ちゃんははぁ…とため息をこぼした。


 やっぱりか、って顔で俺らを見つめる美藍ちゃん。




「どうしたら信じてくれる?」