歌姫桜華






「わ、私は、みあ…。美藍っていうの」



「美藍ちゃん。…可愛い名前ですね」



「ありがと」



「よろしくな、美藍ちゃん!」


「よろしくお願いします、美藍ちゃん」




「うん、よろしくね!」





 そのとき見せた、美藍ちゃんの笑顔は、今まで見てきたどの笑顔よりも輝いて見えて、胸の奥がドキン…と高鳴った。



 心臓が苦しい。



 なんなんだろう、この感覚は。





「でも、美藍ちゃん、足速いですよね」



「え、そうかな?」



「そうそう!ここに来たとき、ビュン!ってな。あれはすごかった」



「え~、普通だよ?」




 普通!?あれが、普通?!


 本気で走ったら、どんだけ速くなるんだよ…。