歌姫桜華






「べ、別に…大丈夫」



 グスッと、鼻をすすって、涙を拭った少女。


 全然大丈夫そうに見えねぇんだけど。





「……ただ」


 震える声で、弱弱しく呟いた女の子。




「ちょっと、悔しかっただけ」



「悔しい?」




「うん…。私がもっと強ければ、……あの猫が傷つくこともなかったのに」




 猫?


 俺と紺は顔を見合わせて、首をかしげた。さっぱり意味がわからない。




「もっと詳しく教えてくれませんか?」




「……あのね、近くの空き地で3人の男の子が一匹の捨て猫をいじめてたの」




「「!」」




 猫をいじめるなんて、最低だな…。


 どこのどいつだよ。