(奏多side)




 これは、まだ俺が小学三年生のころの話―――…





「なあ、紺!宿題見せてー」



「嫌ですよ。自分でやってください」





 藤堂 紺と俺・千伽 奏多は、幼馴染。


 生まれたときから一緒にいて、親同士が仲がいいからから、いつでもどこでも行動を共にしていた。




「ケチ」


「ケチじゃありません」



「ちぇぇ」




 俺は、唇を尖らせる。


 紺は真面目で紳士的で、俺にはない優しさがある。



 それを知っているから、宿題を見せてくれないのもこいつなりの優しさだってことはわかってる。


 けどさー。





「見せてくれよ~」


「嫌です」




 宿題提出しないと、また先生に怒られちまうよ~。先生、怒るとめっちゃ怖いんだよなぁ。