歌姫桜華






「はっ、そんな脅しなんかに乗るわけねぇじゃん!行こうぜ」


「そ、そうだな」




 男二人は、私をただの女の子だと思ってるみたい。


 可哀想。



 私はね、ただの女の子なんかじゃないの。


 最強の、そして最凶の、女の子なんだから。






「脅し?」



 私は、男二人が座っているその隣の空いている椅子に手を置いた。




「脅しなんかじゃないわ。ただ頼んでるだけ」




 ――バキッ!!




 私は手に力を入れて、椅子を真っ二つに割った。


 弁償なんてしないからね。



 もともと、こんなあってはならない店、壊す予定だったし。





「「ひぃ…っ!!」」


「さっさとそれ、渡してくれない?」





 こっちは時間がないんだから。