歌姫桜華




 私の言葉を聞いて、男二人の顔が一気に青ざめる。


 目を丸くして、「なんでそれを…っ」とどちらかが呟いた。





「やっぱりね。
 ねぇ、それ私に頂戴」



「は!?お前が買えよ!!」




「私は使うために欲しいんじゃないの。この世から消すために、欲しいの」




「は…!?」




 だんだんと顔を引きつっていく二人。


 私はね、さっさとこんなところから去って、和也とのデートを楽しみたいのよ。



 せっかくの初デートなのに、遅れるなんて言語道断…でしょ?






「渡さないって言うなら、奥の手を使うしかないけど」



「奥の手…?」



「ねぇ、渡してくれる?」





 運勢ランキング、いつも当たらないのにどうしてこういう時だけ当たるんだろう。


 だんだんと機嫌が悪くなる私の雰囲気は、それに比例するように黒くなっていく。



 殺気に満ちていく。