「や、やっぱなんでも……「大丈夫」 なんでもない、そう言おうとした。 けど、咲久が裾を握っていた手に自分の大きな手をのせて言った。 「ゆっくりでいいから」 いつだってそう。 私が不安なとき。緊張してるとき。今みたいに、安心させてくれた。傍にいてくれた。 だから私は――――――――……… 「あ、のね……私……… ―――咲久のことがす、好きなの…っ」 精一杯伝えた想いは、小さな声で言うのがやっとで。 思わず目を閉じて言ったせいで、咲久の表情がわからない。