歌姫桜華



「MIRIAの曲、聴いてんの?」


 横を通り過ぎた、女子高生の声。



 …え?MIRIA…?



 私は、思わず振り向いた。






「そ!…引退しちゃったんだよねぇ。マジ最悪っ」


「理由とか、なにも発表しないよね」


「新曲また出して欲しいーーーー!」






 MIRIAは、幻想的に恋愛ソングを歌っていた。


 歌うことが好きだった私は、

 スカウトされたとき、「ラッキー☆」とか思ったんだよね。


 デビューして、人気が出てきて……嬉しかった。




 でも、だんだんとめんどくさくなった…というか、

 お金を稼ぐ。…それだけに思考が回っちゃって。




 ついに、やめたんだ。



 このままでは、もう終わるだろう。

 だったら、自分から終止符をうとうと思った。