歌姫桜華






「朱綾はホント、美藍に似たな」




「え、そうなの?」




「私はこんな、男勝りじゃなかったですぅ」





 唇を尖らせて、ツンとしてしまうお母さん。……それしても可愛いだけだと思うけどなぁ。



 ま、いっか。私はまた、美味しいおかずのひと品・肉じゃがをほおばった。










「そういえば、咲久君は元気?」






 お母さんの突然の言葉に、私はちょうど飲んでいた麦茶をブーッと吹き出してしまった。「朱綾、汚いわよ。どうしたの?」とテーブルを拭きながらお母さんは言う。



 「別に…」と少しむせながら私は言った。





「元気だけど、どうして?」




「最近、見てなかったから。ちょっと気になってね」





 気になるって、……昨日聞いてくれれば吹き出さなかったのに。