歌姫桜華






 お母さんとお父さんは、私・娘の立場から見ても美形だと思う。二人が立つと絵になるっていうか。お似合いっていうか。美人、イケメン……そんな言葉が合うと思う。





 そんな二人のいいところを私はなぜ受け継げなかったんだろう。こんな平均以下の地味な顔に体……、神様ってホント意地悪だと思う。








「さ、夕飯にしましょ」




「あぁ」




「はーいっ」







 イスに座り、両手を合わせて「いただきます」と言って、すぐに箸を持つ。




「女の子なんだから、もうちょっと行儀よく食べなさい」




 なんてお母さんに注意されるけど、気にしてらんない。





「お母さんがこんな美味しそうなもの、作るからでしょ?」




 パクリ、と一口豪快に食べてから、私は言った。その言葉にお父さんはククッと含み笑いする。