家を出るとき、ヒンヤリと頬を伝ったのは紛れもなく涙だった。 あれは、もう桜が散り終えた時季。 流れる涙を止めることなく、私は家を出て独りで生きようと思ったんだ。 それなのに、私はまた独りではなくなってる。 また、この色鮮やかな世界へと入ってしまった。 闇を抱えてる私が、こんな光が溢れる世界へと。 徹……お母さん…お父さん……。 ごめんね――――――――……