歌姫桜華






「ご、ごめん……」



「いや、こっちこそ…すまん」





 他人行儀な謝罪をしてから、パチリと目が合う。



 和也は、素早く目を背けた。






 ドキドキドキ……と、さっきから加速してくこの高鳴り。


 ウザイほどうるさく身体中に響く。


 体温が、急激に上がってく。




 なんなんだろう…この気持ちは。感情は。






 ―――本当はわかってた。でも、気づいてないフリをした。


 気づいたところで、この現状はなにも変わらないから。