歌姫桜華


 私はその席に向かって、歩く。


 周りからは「可愛い」とか「やべっ。好みなんですけど」とかいう声が聞こえてきたが無視。



 関わらない。


 関わってはいけない。



 独りで、過ごしてく。




 すると、ガラッと扉が開いた。


 そういえば、廊下側の後ろの席……4つ、空いてる。


 そして、入って来た人は、合計4人。


 見なくてもわかる。足音で。



「おい。お前ら、遅刻だぞ」



 殺気を出しつつ、町村先生が言った。


「「「「すんません」」」」

 4人同時に謝り、スタタタと席に着いた。


 やっぱり……あそこの席なんだ。



 町村先生は、コホンと咳払いしてから

「ちゃんと次の授業、受けるように」

 それだけ言って、教室から出て行った。


 出て言った瞬間、みんな騒ぎ始める。