(ただでさえ、お身体がお強くはない、儚い御方。


この上、愛し子を失ってしまったとなっては………)






背筋を冷たく走る不安に、タエは涙を堪えきれなかった。






(なんとかして、影宮さまをお探しして、取り戻し申し上げなくては―――)






そう決意を新たにして、タエはアサハを寝台に寝かせた。









ーーー皇太子である正宮の皇女が誘拐されたという大事件は、早急に天皇に知らされた。




そうしてすぐに、内密に探索が行われた。




信頼のおける極一部の使用人によって、天宮中が隈なく調べられた。






………しかし、その赤子が、再び正宮とアサハの手の中に戻ってくることは、なかった。






幸い、正宮の妃が産んだ御子の詳しい情報ーーーつまり双子であったことは、天貴人にも天つ民にも知らされていなかった。





そのため、そのまま、正宮の第二皇女の存在は隠蔽されたのだった。