* アスカはぼんやりと窓の外を仰いだ。 「あー、きれいだなぁ、雲……」 外は、薄青い朝だった。 ぽっかりと浮かぶ雲の裾は、朝焼けの紫がかった赤に染まっていた。 その色が、ミカゲの瞳に似ていると思ったら、会いたくて仕方がなくなった。 まだ朝早い。 天宮は、冷たいほどの静寂に包まれていた。 使用人たちも、ほとんどはまだ起き出していないのだろう。 アスカは手早く寝着から平服に着替え、部屋を出た。