「………あんたも、物好きな奴だなぁ。


会ったばっかりのオレと、ケッコンしたい、だなんて」





チキュはぼんやりとそう呟く。



タツノは事も無げに、「一目惚れってやつかな」と答えた。




チキュは「ふぅん?」と訝し気に唸る。


チキュの辞書には、色恋だの惚れた腫れただのといった単語は、何一つ掲載されていないのだ。






「………ま、ヒトメボレだろーが、フタメボレだろーが、オレにとっちゃどっちでもいいんだ。



とにかくオレは、あんたが言ってるケッコンだのなんだの、まったく興味ないんだよ。


オレのこと匿ってくれてるってんなら感謝するけどさ。



でもさ、そーゆーのは、見返りとか求めちゃいけないもんなんだぞ?



ケッコンしたいからオレのこと世話してるとか言うなら、オレは、あんたに失望するよ」