「………そうさ。

俺は、初めからそのつもりだった。


地国で、初めてお前に会った瞬間に、お前のことが気に入った」






「…………は?」






突如向けられた真面目な表情に戸惑いながら、チキュは首を傾げた。




タツノは低く穏やかな声音で、小さな子どもを諭すように、チキュに語りかける。






「俺は、あの日からずっと、お前のことが欲しかった。


だから、なんとしてでも手に入れたかった。



………そうだよ。


俺がお前をここに連れてきて、匿っているのは、そういう下心があったからさ」







そこまで言って、タツノは「悪いか?」と右の口角を上げた。




いつもの皮肉っぽい笑い方だった。




ただその皮肉が、タツノ自身に向けられたものであるということは、チキュにも分かった。