天と地の叙事詩Ⅲ Epic of the Ether

「………あのなぁ、アカネ。


お前、なんで自分がここにいるのか、考えたことなかったのか?」





チキュはぱちぱちと瞬きをする。





「へ? そりゃあ………。

なんでだか分かんないけど、攫われてきたからだろ」





「まぁ、そりゃそうだが。

なんでこのソガノ家の居住区で暮らしてるのか、ってことだよ」





「えぇ? だって、気が付いたらここにいたんだもん」





タツノの言わんとすることが理解できず、チキュは眉を顰める。





「ああ、そうだよ。


でもな、ソガノってのはな。

お前が思ってる以上に、天貴人きっての『由緒正しい』御家なんだ。


身元も分からない、どこぞの馬の骨なんか、訳もなく家に入れて世話するはずないだろ。



そんなの、危険すぎるからな」