タエは顔を俯け、ゆっくりと床に跪く。





「もうお一人の皇女さまが―――」





その声は、泣き出しそうに潤んでいた。



震える小さな肩を見つめながら、アサハは不安に喉を鳴らした。




タエは弱弱しく繰り返す。





「影宮(かげのみや)さまが―――」




「……カグヤが、どうかしたの?」






タエが小さく頷いた。






「―――影宮さまが、…………お見えになりません。



影宮さまのお姿が、この天宮の何処にも、ございません………」






そう言って、誠実な乳母は、白の皇女を抱きしめたまま、さらに深く首を垂れる。




アサハは大きく目を瞠った。