天と地の叙事詩Ⅲ Epic of the Ether

(アカネは、自分を男だと信じて育ったという)





それはいくらなんでも鈍すぎるだろうとは思うが。


とにかく、本人はまさか自分が女だとは考えてはみなかったらしい。





(そうなると、激しい思い込みの為せる業、というのも考えられるかもしれないな………。


それならば、その思い込みを解消して、自分の性についてしっかり認識させれば、ちゃんと女の身体になるのかも………)





自分なりの結論に至ったタツノは、チキュの傍に寄った。





「なぁ、アカネ」



「なんだよ」




チキュは大きな黒瞳をタツノに向けた。




「ちょっと、生き物についての勉強をしよう」



「げぇっ。急に何言い出すんだよ!?

オレ、勉強きらいなんだけど!?」



「生きてく上で重要な知識だから、ちゃんと知っとく必要がある」



「………へいへい」




チキュが素直に頷くのを見て、タツノは姿勢を改めた。