タエは蒼白な顔をしていた。



その胸には、白の皇女が抱かれている。


タエの声にも目を覚ますことなく、紅い瞳を今は瞼の下に隠して、すやすやと眠っていた。




しかし、いつも二人一緒に寝かされているはずの、黒の皇女が、いない。



アサハは不審に思い、眉を顰めた。






「―――妃殿下! 


申し訳もございません!」






かなり動揺しているらしいタエは、事情を話すこともなく、声を震わせながら謝罪の言葉を吐く。




タエの腕の中の愛し子を見つめながら、アサハはタエに声をかけた。







「……タエ。落ち着いて。


一体、何があったの?



わたくしの、もう一人のやや子は……?」







不安げな声で訊かれ、タエは白の皇女をぎゅっと抱きしめながら、唇を震わせた。






「………あぁ、あぁ―――。



妃殿下、お許し下さいませ………」