天と地の叙事詩Ⅲ Epic of the Ether

するとタツノは、微かに慌てたように両手を上げる。





「あぁ、あぁ、もちろんあるよな。


お前だって一応、身体は女なんだもんな。



いやいや、こんなこと聞いたのは、いくらなんでも無神経だった。


急に恥ずかしいこと聞いてしまって、ごめんな」






タツノの必死の弁解を、チキュは口をあんぐりと開いたまま聞いていた。






「………あ?

なに言ってんだ? タツノ。


月のものがあるか、って、どういう意味だ?




月のものなんて、持ってるわけねぇだろ?


あんたは知らないらしいから教えてやるけどな。


月ってのは、ものすごーーーーーく遠いとこにあるんだぜ?



これはウチューに教えてもらったことだから、絶対本当だ!



月はどんだけ高い山の頂上に登ったって、絶対に手は届かないんだ。



だから、いくらオレでも、月のものは持ってないんだよ」







「…………………」








タツノは驚きのあまり、しばらく反応することができなかった。