天と地の叙事詩Ⅲ Epic of the Ether

その屈託のない仕草に、タツノはやはり不安を隠せない。





「………なぁ、アカネ。


ちょっと、訊きたいことがあるんだが」





「ん? なんだ?」





チキュはまたもや欠伸をしながら、寝台から下りる。





「うー、さぶ。

なんか寒いな、今日は」





などとぶつくさ言いながら、防寒のための上衣を探しに衣装台へ向かうチキュを、タツノは追う。





「あのな、アカネ」


「だから、なんだよっ」




チキュは愛想のない声で答える。


タツノは構わずに続けた。




「一つ、確認しておきたいんだが」




改まった口調でタツノがそう言うので、見つけた上衣を肩に羽織りながら、チキュはきょとんと目を上げた。





「なんだよ」




「………お前。


月のものは、ちゃんとあるんだよな?」






タツノが声を低くしてそう訊ねると。





「………はぁ?」




チキュは、素っ頓狂な声を上げた。