天と地の叙事詩Ⅲ Epic of the Ether









どことはない圧迫感をおぼえて、チキュは眉を顰めて瞼を上げた。




「………う。くるし……」




手の甲で重い目をこする。




「………なんだぁ……?」





息苦しさの正体は、すぐに分かった。



タツノが、臥せているチキュの身体の両側に手を付き、その長身を屈めていたのである。




「………またあんたかぁ」




ふぁぁ、と大きな欠伸をしながら言うチキュを、タツノは溜め息を吐きながら見つめた。





「色気のない寝起きだなぁ、アカネ。


婚約者の愛撫で目覚めて、大欠伸か」





「はぁ? あいぶぅ?

なんだそりゃ。


………ってか、なんだよ、コンヤクシャって。


いつまで寝言いってんだ」





チキュは眠そうな顔で、身体の上に覆いかぶさっているタツノを邪険に腕で押しのけた。