天と地の叙事詩Ⅲ Epic of the Ether

「お前、アカネとはどうなっているのだ」



「と、言いますと?」



「あの娘を娶りたいと言っていたが、その話は進んでいるのか」





タツノは身体の向きを正面に直した。





「ええ、まあ………。


あいつは特に拒否する様子もありませんがね」





(俺に求婚されていることを、本当に理解しているのかは不明だが………)





ムラノは「ふむ」と頷く。





「その気があるのなら、早く婚儀を上げてしまえ。



なるべく早いほうがいいだろう」





「早く既成事実を作ってしまえ、という意味で受け取ってもよろしいでしょうか」





「…………」





ムラノは答えなかった。





「………それであの娘は。


ちゃんと子を成すことができる身体になっているのだろうな?」





念押しをするように訊かれて、タツノははたと動きを止めた。





(………そういえば、そのへんは確認していなかったな……)