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「―――妃殿下!」
慌てふためいた声で名を呼ばれ、アサハは気怠げに瞼を上げた。
産後の肥立ちが良くなく、出産を終えてからずっと寝たきりの状態だった。
部屋の外に出て散歩をすることさえ、ままならない。
現在の唯一の楽しみは、乳母が一日に数回、決まった時間にこの寝室まで連れてきてくれる愛しい子どもたちと面会することだけだ。
今も、そろそろその時間に近づいてきていると思い、その前に力を蓄えておこうと軽く眠っていた。
そこへ、乳母のタエが大声を上げながらばたばたと駆けこんできたのだ。
「………まぁ、タエ。
そんなに大きな声を出して………。
一体なにごとなの?」
アサハは身を起こしながら、掠れた声でそう問うた。