天と地の叙事詩Ⅲ Epic of the Ether








タツノは冷ややかな視線を、実の父に落としていた。




跡継ぎ息子を平然と見つめ返すムラノの表情には、僅かながらに焦燥が見え隠れする。




「………真実を、教える気はない、ということですか」




タツノは不機嫌さを隠さずに横柄な態度で呟いた。



ムラノは答えない。





「隠しても、無駄だと思いますがね。

アカネ本人が見てしまったのですよ。


自分と瓜二つの皇女を。


いくらあいつが単純で鈍感だといっても、さすがに自らの出自を疑っていることでしょう。


創世神の化身として、天国中の崇拝を集めている『白の皇女』光宮ミカゲと、自分の容姿が生き写しのようだという事実。



ーーーそれが一体、何を意味しているのか………」