「…ったく。まじ、フラれると思った」
耳元で聞こえる拓の声がくすぐったい。
「フラないよ。」
まだ知り合って間もないのに、お互いに知らないこともいっぱいあって、むしろ知らないことのほうが知ってることより多いのに…
「だって、こんな私を…受け止めてくれるんでしょう?」
「当たり前。愛奈の全部、受け止めてやるよ。…子供な俺を、置いてくなよ?」
「置いてかないよ。一緒にいこう?」
私を閉じ込めるこの腕の中は、どうしてこんなにも安心するんだろう。
「ずっと、な。」
あったかい。
拓の温度が心の奥まで侵食してくる。

