私は何が起きたのか瞬時に判断できなくて、拓の腕の中で瞳をぱちくり。
女子高生たちは悲鳴とまではいかないけど、「ちょっと、拓?」なんて動揺しまくり。
それよりも、私が拝みたいのは元カレの顔。
おそるおそる目線だけ元カレに寄越すと、案の定元カレは鳩が豆鉄砲をくらったみたいな顔で、カレもまた、瞳をぱちくり。
辺りを見渡して、私は条件反射で拓の胸を両手でぐっと押した。
けれども、拓の腕の力が更に強まり、私が離れることを許さない。
「はっ、そーゆーことかよ」
元カレが吐き捨てるように呟いた。
そのときの顔といったらまさに、苦虫を噛みつぶしたような顔。

