駅前の大通りから一歩踏み込んだ小路に、西洋のお洒落な雰囲気を漂わせるカフェがあって、私は拓に連れられてお店のなかに入った。
こんなお店を知ってるなんて…
拓はやっぱり大人だ。高校生だけど、…大人だ。
「ねえ、なに飲む?」
二人用のテーブル席につくと、拓はメニューを私に差し出しながら微笑んだ。
うわー…かっこいい。
暗がりじゃよくわからなかった、拓のこの容姿。
「てゆうか愛奈、お昼は?」
「まだだよ。」
私がそう答えると、拓はまたふわっとした微笑みを私に向けた。
「よかった、俺も。じゃあ何か食べよう?」
…心臓、うるさいなぁ。

