「……拓?」 彼の後ろから、おそるおそる声をかけてみる。 ………もし違う人だったら謝ってダッシュで逃げよう。 私の考えていることは、幼稚だ。呆れるくらい。 私の声に気づいて振り返った彼は、検討違いの真後ろから、ゆっくりと目線を下げてきて私を焦点に合わせる。 「あ、愛奈。遅いよ」 ………ビックリした!!! 息が止まった。冗談抜きで。 きっと思考回路も数秒のあいだ、固まって動かなかったと思う。 だって…目の前の彼は、あまりにも顔が整いすぎていた。