「んー?」 私の気の抜けた返事の少しあとで、拓が言った。 「今度は待ちぼうけすることがないように、電話番号教えてよ。」 「…番号?」 「ん。ハンカチいいって言っても、どうせ愛奈、また俺に返しにくるでしょ」 私のことをわかりきったような物言いをする年下の男子高校生がなんだかいじらしくて。 「どうして?」 「どうしてって、愛奈ってそういうやつだなって思うから。律儀ってゆうかなんつーか」 なぜその、私のことをわかりきった感じ…。