彼方の肩に、銃弾が当たった。



<つ――――――――――――>



彼方は肩を押さえた。


彼方は逃げた。



眠る少年を抱えながら。




彼方は少年を抱えてある部屋にいた。



<おい、大丈夫か!>




彼方は少年に小声で尋ねた。



少年は眠っていた。



<おい、いた?>




<いない!>



男たちの声がした。



<マズイ――――――>



彼方は呟いた。




その時だった。



<ねぇ>



声がした。


<え?>



彼方は振り向く。


<君>


<え>



<気づいてるの?>



<――――――>


眠っていた少年が、口を開いた。



<お前、>




<ねぇ、黒い探偵さん?>



少年は彼方に言った。


<お前、オレを――――――>




<綺麗な夜だね>




<――――――!>



<黒い探偵さんの姿、死神みたい>




<死神っ>


彼方は絶句した。



<お前な>



<君は僕を助けるの?>




<あぁ>



<なら>



少年は呟いた。



<君は僕と手を組まない?>




<―――――――――!>




月夜に少年の姿が見えた。