結衣から連絡をもらって俺はすぐに走り出した。
電話の奥からかすかに聞こえるゆうの声は苦しそうで、きっと泣いてる。

そう思うと走らずには居られないだろう?!

幸い俺は近くで回診をしていたのですぐにゆうの元へ着いた。

「ゆう!ゆう!落ち着け!」

いや、まず自分が落ち着かなければ。

「結衣、ゆう吐いたか?」

「いいえ、まだです。でも、何度も嗚咽を聞いているのでもうそろやばいかと思います。」

こいつすげえや。

急にゆうが倒れて相当びっくりしたはずなのに状況とゆうの体をよく分かっている。

さすが秀に指導されてるだけあるな。

「じゃあ、俺、ゆうのこと病室に連れて行くから!ありがとな!」

「いいえ、私は何も…優希のことたすけてあげてください!」

「おう!」

俺はゆうを姫抱きにしてゆうの病室まで歩く。

ゆうは相変わらず苦しそうで、時々俺の名前を呼ぶ。

「ゴホ…ゴホ…ぅ、ぅぅハア…ハア…ハアヒック…か…ゲホ…いとー(泣)」

「ゆう、もう大丈夫だ、安心しろ」 

「…ゴホ…うん…ゲホゲホ…ご、めんゲホゲホ…やく…ゴホ…そく…」

「ああ、安静にするって約束か?…守らなかったのは患者としてだめだ!でも、医者としてはかっこよかったぞ!笑)だから、もう話さなくていい。」

ちょうど部屋に着いたのでゆうをベットに寝かせた。

ゆうの呼吸は落ち着いてきた。

「ゆう、もう苦しくないか?」

「うん、だいぶいい」

「そうか…一応聴診させてな?」

ゆうは珍しく素直にパジャマをめくった。

喘音も良くなっていた。

ゆうの顔色もさっきより随分良かった。

「このまま、今度こそ安静にしてたら入院が長引くことはないと思う!…でも、一応あとで秀に見て貰おう!な?」

「ぇー。ゃだー」

小さな声でもしっかり聞こえる。

「なんで?なんで嫌なの?」

「嫌だからー!笑)嘘だよ笑)ちゃんと受けて明日から元気に復帰する!」
 
「そうだな!じゃあ昼ご飯持ってくるよ!ってもう13時だけど…ご飯たべれそうか?」

「ごめんね、お昼休憩潰しちゃった…少し食べる!」

「きにすんなって!俺はむしろゆうに会えて嬉しいよ!じゃあ少しもってくるな!」

今俺はさりげなくゆうに会えて嬉しいなんて言ったけど、本当はめっちゃ緊張してんだからな…笑
多分めっちゃ顔赤いな…